『口腔がん検診と周術期口腔機能管理』について
10月31日(土)19時より、吉備歯科医師会会館にて、倉敷中央病院 歯科の水川展吉先生による講演会が開催されました。
今回は「口腔がん検診と周術期口腔機能管理」と題して、口腔がんの現状やリスク因子、早期発見の重要性、また手術前後のお口のケアについてお話しいただきました。
講演内容
口腔がん検診について
1.口腔がんとは?
口腔がんとは、口の中にできるがんの総称です。
日本では、口腔がんの半分以上を「舌がん」が占めています。そのほかにも、歯肉がん、口腔底がん、硬口蓋がん、頬粘膜がんなどがあります。
口の中は、自分自身で見たり触れたりすることができる部位です。そのため、早期発見・早期治療につなげるためにも、口腔がんについての啓発活動や検診が重要になります。
2.世界の口腔がんの状況
世界に目を向けると、東南アジアは口腔がんの多発地域となっています。
例えばインドでは、30〜69歳で死亡するがんの上位3位は、男女で次のようになっています。
- 男性: 口腔がん、胃がん、肺がん
- 女性: 頸部がん、胃がん、乳がん
地域によって、口腔がんの発生状況やリスクには違いがあることが分かります。
3. 日本における口腔がんの現状
日本では口腔がんは、全体がんの1〜2%、発生率は4〜6人/10万人と言われています。
割合としては決して多くありませんが、年々増加傾向にあります。
4. 口腔がんのリスク因子
口腔がんには、さまざまなリスク因子があります。
- 東南アジアにおいてはベテルキッド(噛みタバコ)、喫煙、アルコール
- 食生活、生活習慣、ウイルス(ヒトパピローマウイルス)
その他、不適切な補綴物(詰め物や被せ物など)や慢性炎症による口腔粘膜の刺激、喫煙、飲酒、高齢化
5. 口腔がんは早期発見が大切
日本における口腔がんの5年生存率は 60〜80%。
初期のがんでは90%以上であるのに対し、進行したがんでは50%以下に低下します。
このことからも、早期発見・早期治療の重要性が分かります。
口腔がん検診を歯科医師会、大学病院、行政と連携して実施しています。
- 市民への口腔がんの周知活動
- 地域の一般歯科医師への生涯教育活動
- 行政への口腔がん予防や、早期発見の重要性の説明
- 口腔がんスクリーニングのためのインフラの整備ならびに検査機器や検査方法の開発に取り組み、恒常的に検診を実施
6. 検査機器ベルスコープ
口腔がん検診に使用する検査機器「ベルスコープ」についても紹介がありました。
7. 口腔がんの治療には多職種の連携が必要
口腔がんの診断や治療には、多くの専門職が関わります。
頭頸部外科医、歯科口腔外科医、形成外科医、放射線治療診断医、腫瘍内科医をはじめ、歯科医師、薬剤師、看護師、歯科技工士、歯科衛生士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、管理栄養士など、さまざまな職種の連携が必要です。
周術期等口腔機能管理について
周術期等口腔機能管理とは、手術の前後などにお口の中を清潔に保ち、口腔機能を管理することです。
周術期口腔ケアを行うことで、次のような効果が期待できることについてもお話がありました。
- 入院期間の短縮: 周術期口腔ケアを行うことで、在院日数の削減につながります。
- 医療費の削減: 医療経済的な観点からも、口腔ケアの実施により、急性期病院における検査・投薬・注射などの医療支出全体を2%削減できる
今回の講演では、口腔がんの早期発見・早期治療の重要性に加え、手術前後のお口のケアが医療にもたらす効果について学ぶことができました。
水川先生、貴重なお話をありがとうございました。
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